LOCOMOTIVE SYNDROME
最近つまずきやすい、歩くスピードが遅くなった、階段の昇降がつらい——
「立つ・歩く」の機能低下は、将来の寝たきり・要介護につながるサインかもしれません。
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は高齢者だけの問題ではなく、40代から兆候が現れることもあります。早期の自覚と予防が何より重要です。セルフチェックで気になる項目があった方は、お気軽に当院へご相談ください。
ABOUT
ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)とは、加齢や運動不足、筋力低下、運動器疾患などにより、立つ・歩くといった基本的な移動能力が低下した状態を指します。日本語では「運動器症候群」と呼ばれ、メタボリックシンドロームや認知症と並んで、健康寿命を縮める3大要因のひとつに挙げられています。
筋肉・骨・関節・軟骨・椎間板など、身体の動きを支える「運動器」のいずれかに異常が起こると移動機能が徐々に低下し、歩行困難や転倒・骨折、将来的な寝たきり・要介護状態のリスクが高まります。
ロコモの特徴は、すでに介助が必要な状態だけでなく、「今後、要介護になる可能性が高い状態」も含めて対象となることです。つまり、早期の自覚と予防が非常に重要です。40代頃から兆候がみられることもあり、「年齢のせい」と放置すると気づかぬうちに進行しているケースも少なくありません。
年齢とともに筋肉量が減少し(サルコペニア)、筋力やバランス能力が低下します。転びやすくなったり、日常生活の動作が億劫になる「運動機能の低下」が進行します。
変形性膝関節症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗鬆症・圧迫骨折など、運動器そのものの病気もロコモの主因です。関節の変形や痛みで活動量が減り、さらに筋力が衰えるという悪循環に陥ります。
デスクワーク中心の生活、歩行機会の減少、体重増加なども、筋力・柔軟性・骨密度の低下につながり、ロコモを引き起こしやすくなります。
HEALTHY LIFE
健康寿命とは、介護を受けることなく自立した生活を送れる期間のことです。日本人の平均寿命と健康寿命の間には、男性で約9年、女性で約12年の差があるとされており、人生の最期の約10年間は何らかの介助が必要になる可能性を示唆しています。
この健康寿命を脅かす大きな原因のひとつがロコモです。実際に、要介護となる主な原因の上位には、関節疾患や骨折・転倒、脊椎疾患などの運動器の障害が含まれています。
運動器の障害はご本人の生活の質を大きく下げるだけでなく、ご家族にも精神的・身体的・経済的な負担を与える可能性があります。「健康に長生きしたい」「寝たきりになりたくない」「家族に迷惑をかけたくない」——そんな思いをお持ちの方は、40代・50代からのロコモ対策がカギとなります。
SELF CHECK
ロコチェック
日本整形外科学会が提唱する「ロコチェック」は、道具も測定器も不要で、自宅で簡単に実施できます。以下の7項目のうち、1つでも当てはまる場合はロコモの可能性があります。
1つでも当てはまった方は、予防・改善のために整形外科での評価や運動習慣の見直しをおすすめします。より詳しい運動機能の検査や理学療法士による指導も当院で承っております。
TRAINING
「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」とは、筋力やバランス能力を鍛えることで、立つ・歩くといった基本動作の維持・改善を目指す運動プログラムです。日本整形外科学会も推奨しており、無理のない範囲で継続することが効果的です。
左右各1分ずつ行うことで、バランス機能や下肢の筋力を向上させます。転倒が不安な方は、机や手すりにつかまりながら行いましょう。
太ももやお尻、体幹の筋肉を効果的に鍛えられる基本動作です。膝がつま先より前に出ないよう、ゆっくりと腰を下ろすのがポイントです。
筋力トレーニングマシンを活用した下肢トレーニングや歩行訓練など、体力や症状に応じたメニューを組み合わせます。
医学的なサポートのもとで、安全にロコモ対策を
ロコモの背景には、変形性関節症、骨粗鬆症、脊椎の変形などの整形外科的疾患が隠れていることも少なくありません。明らかな痛みや違和感がある方、既に診断を受けている方は、自己判断せずまずは医師の診察を受けてください。当院では症状や運動機能に応じたリハビリテーションや個別トレーニングプログラムをご提案しています。
OUR APPROACH
まずは医師が詳細な問診と身体診察を行います。必要に応じてX線検査などの画像検査を行い、運動器疾患の有無(変形性関節症、骨粗鬆症、椎間板障害など)を把握します。疾患がある場合にはその治療を優先し、並行して運動指導・生活習慣の改善にも取り組みます。
ロコモの進行度や身体機能に応じて、以下のようなプログラムを個別に組み立てます。
ロコモは一時的なリハビリで解消するものではなく、継続的な取り組みが必要です。当院では定期的に機能評価を行い、進捗に応じてリハビリ内容の見直しや新たな目標の設定を行います。必要に応じて、家庭で実施できるホームプログラム(運動メニュー)も作成し、自立した生活の維持・向上を支援します。
FAQ
Qロコモとサルコペニアはどう違うのですか?
Aロコモは「運動器の障害により移動機能が低下した状態」を指す概念で、筋肉だけでなく骨・関節・椎間板なども含む広い範囲が対象です。一方サルコペニアは「筋肉量や筋力の低下」に特化した状態を指し、ロコモの一因と理解するとよいでしょう。
Q何歳くらいから意識すべきですか?
A早ければ40代から兆候が出始めることもあります。明らかな症状がなくても「最近つまずきやすい」「立ち上がるのがつらい」と感じる方は予備群の可能性があります。50代・60代では本格的に進行するケースが増えるため、できるだけ早期からの予防が重要です。
Qロコチェックで1つでも当てはまったら受診すべきですか?
Aはい。1項目でも当てはまればロコモの予備群とされており、整形外科的な評価を受けることが望ましいとされています。特に高齢の方や、既に関節や骨に疾患のある方は、悪化を防ぐためにも早期受診がおすすめです。
Qロコモは完全に治りますか?痛みがあってもロコトレしてよいですか?
Aロコモは病名ではなく「状態」なので、"治す"というより「進行を防ぎ、機能を維持・改善する」ことが目標です。早期からの対策で日常生活に支障のないレベルまで改善することは十分可能です。痛みが強い場合は原因疾患の治療を優先し、症状に応じてメニューを調整しますので、自己流で無理に続けず医師や理学療法士にご相談ください。
Qリハビリはどれくらいの頻度で通えばよいですか?
A症状の程度や目標によって異なりますが、週1〜2回の通院が基本です。間の期間に自宅で行うトレーニングメニューを併用していただくことで、より効果的な改善が期待できます。