COMPRESSION FRACTURE
寝返りや起き上がりで背中・腰が痛む——
背骨が体の重みで押しつぶされる「脊椎圧迫骨折」は、転倒がなくても起こる「いつのまにか骨折」です。
ABOUT
脊椎圧迫骨折とは、背骨(脊椎)にかかる負荷によって、椎体が押し潰されるように変形・骨折してしまう状態です。近年は「骨粗鬆症性椎体骨折」とも呼ばれ、骨粗鬆症が主な原因となります。
脊椎は24個の小さな骨(椎骨)から構成され、体の重さをバランスよく支えています。骨粗鬆症によって骨が弱くなると、椎骨がその重さに耐えられず、潰れて骨折を起こしてしまうことがあります。
寝返りを打つとき、起き上がる動作、体を動かす際に痛みが出やすい一方、安静時にはあまり痛みを感じないため、「年齢のせい」と思い込んで放置されたり、見過ごされたりすることも少なくありません。

CAUSES
骨粗鬆症で骨が脆くなると、強い衝撃を受けなくても椎体が潰れてしまうことがあります。日常の何気ない動作がきっかけとなり、自覚のないまま「いつのまにか骨折」しているケースも少なくありません。特に注意が必要な動作は次のとおりです。
SYMPTOMS
痛みをほとんど感じないケースもありますが、約3人に1人は骨折の際に背中や腰に強い痛みを訴えるとされます。寝返り・起き上がりなどの動作時に痛みが強く、安静にしていると一時的に和らぐのが特徴です。
ただし、骨折した椎体が自然に元の形に戻ることはありません。潰れた椎体を放置すると背骨全体のバランスが崩れ、他の椎体への負担が増加します。その結果、1つの椎体が骨折すると、その後1年以内に次の骨折が起こる可能性が高くなることが研究で示されています(骨折の連鎖)。
このようなサインにご注意ください
DIAGNOSIS
椎体の潰れ・変形の有無を確認します。圧迫骨折診断の基本となる検査です。
X線では分かりにくい新しい骨折(受傷直後)や、古い骨折との区別、神経の圧迫の評価に有効です。
背景にある骨粗鬆症の有無と重症度を評価し、再骨折を防ぐための治療方針を立てます。詳しくは「骨粗鬆症」のページをご覧ください。
TREATMENT
多くの圧迫骨折は保存療法で改善します。コルセットやギプスの装着で背骨を安定させて安静に過ごし、鎮痛薬と骨粗鬆症の治療薬を併用します。痛みが落ち着いてきたら、筋力低下や姿勢悪化を防ぐためにリハビリテーションを取り入れます。高齢の方では、長期のベッド上安静により筋力の著しい低下や見当識障害を招くリスクがあるため、当院では痛みの管理と並行して、無理のない範囲で早期に体を動かせるようサポートします。
痛みが強く長引く場合や変形が進行する場合には、手術が検討されます。手術が必要と判断された場合は、連携する医療機関へご紹介いたします。
骨折部位に骨を移植したり、金属製のネジやロッドを用いて骨を安定させる手術です。背中側から神経を避けて固定する方法と、体の側面から内臓を避けて固定する方法があり、骨折の状態に応じて選択されます。通常は入院が必要で、術後はリハビリテーションで回復を目指します。
潰れた椎体に充填材(骨セメント等)を注入して強度を回復させる手術です。骨を安定化させて痛みを和らげることを目的とし、固定術と併用されることもあります。単独で行う場合は切開が小さく手術時間も比較的短いのが利点ですが、充填材が意図しない場所へ漏れ出すリスクも指摘されており、適応は慎重に判断されます。
FAQ
Q転んでいないのに骨折することがあるのですか?
Aあります。骨粗鬆症で骨が脆くなっていると、前かがみになる、重い荷物を持ち上げる、くしゃみをするなど、日常のちょっとした動作でも椎体が潰れることがあります。自覚のないまま骨折している「いつのまにか骨折」も少なくありません。
Q放置するとどうなりますか?
A骨折した椎体は自然に元の形へは戻りません。放置すると背骨全体のバランスが崩れて他の椎体への負担が増え、1年以内に次の骨折が起こるリスクが高まります。また、背中が丸くなる・身長が縮むなど姿勢の変化が進み、生活の質の低下や寝たきりのきっかけにもなり得ます。
Q手術が必要になるのはどんな場合ですか?
A多くの場合は保存療法(コルセット・薬物療法・リハビリ)で改善します。痛みが強く長引く場合や変形が進行する場合には、椎体形成術や固定術などの手術が検討され、連携する医療機関をご紹介します。
Q再発を防ぐにはどうすればよいですか?
A原因である骨粗鬆症の治療(薬物療法・食事・運動)を継続することが最も重要です。あわせて、転倒予防(住環境の整備・手すりの設置・滑りにくい靴)や、無理な前かがみ・重い物の持ち上げを避ける動作の工夫も有効です。