FOOT PAIN
朝の一歩目でかかとが痛む、足指の付け根がしびれる、足首をひねってから腫れが引かない——
足底腱膜炎や外反母趾、捻挫などが原因で生じている可能性があります。
足は立つ・歩くたびに全体重を受け止める部位のため、日常生活の中でトラブルが起こりやすい場所です。足裏・かかと・足の甲・足指・足首など、痛む部位によって原因も対処法も異なります。気になる症状がある方は、お早めに当院へご相談ください。
CHECK
CAUSES
使いすぎ(オーバーユース):足底腱膜炎、アキレス腱炎、疲労骨折 など
外傷:足関節捻挫・靭帯損傷、骨折、打撲 など
足の変形:外反母趾、扁平足、有痛性外脛骨 など
神経の圧迫:モートン病、足根管症候群 など
内科的要因:痛風(高尿酸血症)、関節リウマチ など
成長期の障害:シーバー病(踵骨骨端症) など
靴の不適合:ハイヒール・先の細い靴・クッション性の低い靴による圧迫や摩擦 など
DISEASES
「朝の一歩目でかかとが痛い」——足裏のアーチを支える腱膜の炎症
足の裏でかかとから足指の付け根まで張っている「足底腱膜」に炎症が起こる疾患です。足底腱膜は足のアーチ(土踏まず)を支え、歩行時の衝撃を吸収する重要な組織で、立ち仕事やランニングなどで繰り返し牽引力がかかると微細な損傷が積み重なり、痛みにつながります。中高年の方に多くみられますが、スポーツ愛好家や長時間の立ち仕事をされる方にも起こりやすく、扁平足やハイアーチなど足の構造、体重増加、加齢による腱膜の柔軟性低下も発症リスクとなります。

問診・触診で痛みの部位と程度を確認し、X線検査でかかとの骨棘(トゲ状の突起)の有無や疲労骨折との鑑別を行います。エコー検査では足底腱膜の肥厚や炎症の程度をリアルタイムに評価できます。
多くの場合、保存療法で改善します。安静・生活動作の見直しと薬物療法(消炎鎮痛薬・湿布)で炎症を抑え、ストレッチ指導でふくらはぎから足底腱膜の柔軟性を改善します。足底パッドやインソール(足底板)で足裏への負担を分散し、炎症が強い場合は局所注射を行うことがあります。痛みが軽減した段階では、再発予防のためにふくらはぎ・足底の筋力強化を中心とした運動療法を行います。難治性の場合はPRP療法などの再生医療が選択肢となる場合があります。
かかとの後ろの痛みや腫れ。走る・跳ぶ動作の繰り返しで起こる腱の炎症
かかとの後ろにある太く強靭な「アキレス腱」やその周囲の組織に炎症が起こる疾患です。走る・跳ぶといった動作の繰り返しで腱に微細な損傷が生じ、痛みや腫れを引き起こします。ランニングやジャンプ動作の多いスポーツ選手のほか、加齢で腱が硬くなった中高年の方、急に運動を始めた方、クッション性の低い靴を履いている方にも起こりやすい傾向があります。
X線検査でアキレス腱付着部の石灰化や骨棘形成、疲労骨折や関節炎など他の原因を除外します。腱の肥厚や炎症、損傷の有無はエコー検査で評価し、必要に応じてMRI検査で詳細に確認します。
急性期は安静とアイシングで炎症を抑え、薬物療法(消炎鎮痛薬)を併用します。理学療法(リハビリ)ではふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)のストレッチや下腿の筋力トレーニングで再発予防を図り、インソール(足底板)でアキレス腱への負担を軽減します。周囲の癒着や滑走不良にはハイドロリリースが有効な場合があります。長期間治りにくい難治性のアキレス腱障害にはPRP療法が選択肢となる場合があります。
足指の付け根のしびれ・灼熱感。神経の慢性的な圧迫が原因です
足の中指と薬指の間(第3・4趾間)などで、足裏の靱帯の間を走る神経が慢性的に圧迫されて起こる神経障害です。圧迫された神経が炎症を起こし、足指にしびれや焼けるような痛み(灼熱感)が現れます。中高年の女性に多く、ハイヒールやつま先の細い靴を長時間履く習慣、足裏アーチの低下、長時間の立ち仕事などが関係します。
症状のある部位を圧迫してしびれや痛みが再現されるかを確認し、X線検査で中足骨疲労骨折や関節炎との鑑別を行います。必要に応じてエコー検査やMRI検査で神経の腫れや周囲組織の状態を評価します。
多くの方は保存療法で改善します。インソール(足底板)やパッドで足圧を分散し、靴の見直し(つま先が広くヒールの低い靴)を行います。薬物療法(消炎鎮痛薬の内服・外用)に加え、痛みが強い場合は神経周囲への注射やハイドロリリースで神経周囲の滑走性を改善し、症状の緩和を図ります。痛みが長く強く続く場合や神経腫が大きい場合は手術が検討されるため、適切な医療機関をご紹介します。
繰り返しの負荷で足の甲の骨に小さなひびが入る状態
足の甲にある中足骨に繰り返し負荷がかかることで、骨に小さなひび(疲労骨折)が入る状態です。ランニングやジャンプの多いスポーツ愛好家、硬い靴で長時間歩くことの多い方、扁平足など荷重に偏りのある方に多くみられます。骨粗鬆症や栄養不足による骨の脆弱化も背景となることがあります。初期は我慢できる程度の痛みでも、放置すると悪化して歩行が困難になることがあります。

問診・触診に加え、X線検査を行います。初期にはX線に写らないこともあり、エコー検査の追加で見つかるケースや、必要に応じてMRI検査を行う場合があります。治療は安静と患部への負荷軽減が中心です。炎症や痛みが強い場合は消炎鎮痛薬を使用し、歩行時の負荷を減らすために装具や足底板の使用を検討します。骨癒合を確認しながら、段階的に運動へ復帰していきます。
親指の付け根の突出と痛み。靴・アーチの崩れ・遺伝が関係します
足の親指(母趾)の付け根の関節が外側に突出し、親指が小指側に「くの字」に曲がっていく変形です。突出部に炎症や痛みを伴うことが多く、変形だけでなく、歩行時の痛みや靴の圧迫感など日常生活に支障をきたすこともあります。女性に多く、ハイヒールやパンプスなど幅の狭い靴を長年履いてきた方にみられますが、足のアーチの崩れ(開張足)、筋力低下や加齢、遺伝的要因も関係します。
問診・視診に加えてX線検査を行い、母趾の曲がり具合(外反角)や中足骨の開き具合、関節の変形の程度を確認し、進行度に応じた治療方針を決定します。
保存療法が基本です。インソール(足底板)でアーチを補正して圧力を分散し、テーピングや外反母趾用装具で親指の角度を矯正して進行を抑えます。リハビリ・筋力強化では足のアーチを支える筋肉を鍛え、炎症や痛みが強い場合は薬物療法(消炎鎮痛薬・外用薬)を併用します。変形が進行し保存療法で対応できない場合は骨切り術などの手術が検討されるため、専門の医療機関をご紹介します。
土踏まずの低下により、足裏の負担が増して痛みや疲れが出ます
足の裏に本来あるべき縦のアーチ(土踏まず)が低下または消失した状態です。アーチは歩行や立位時の衝撃を吸収し、体重をバランスよく支える役割を担っており、崩れると足裏への負担が増して痛みや疲労感が生じ、膝や腰に影響が及ぶこともあります。生まれつきの先天性のほか、加齢や筋力低下・肥満などで進行する後天性、内くるぶし付近の腱(後脛骨筋腱)の機能不全による外反扁平足があります。
問診・視診・触診に加えてX線検査で足部の骨の配列やアーチの高さ、関節の変形の有無を確認します。疲労骨折や変形性足関節症など他の疾患との鑑別のためにも画像評価は重要です。治療は保存療法が基本で、アーチを支えるインソール(足底板)や靴の見直しを行い、痛みや炎症が強い場合は薬物療法を併用します。運動療法では後脛骨筋や足底筋などアーチを支える筋肉の強化を行います。
尿酸の結晶が関節に沈着して起こる激しい炎症。夜間〜明け方の発症が多い疾患
血液中の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くことで尿酸の結晶が関節内に沈着し、激しい炎症を引き起こす病気です。特に多いのが足の親指のつけ根の関節で、強い痛みと腫れを伴う「痛風発作」が起こります。30〜50代の男性に多く、プリン体の多い食事やアルコール、ストレス、過労、水分不足などが発作の引き金となることがあります。発作を繰り返すと関節の変形や腎機能障害などの合併症につながるため、発作が治まった後の継続的な管理が重要です。
痛みの部位や発症経緯を確認したうえで、X線検査で関節の破壊や感染・変形性関節症など他疾患との鑑別を行い、血液検査で尿酸値などを確認します。
急性発作時は消炎鎮痛薬(NSAIDs)の内服で炎症と痛みを抑え、痛みが強い場合はステロイドの内服や関節内注射を行うこともあります。局所の冷却と安静も重要です。発作が治まった後は尿酸降下薬の内服で再発を予防し、プリン体の多い食品や過度なアルコールを控える・十分な水分を摂るなどの生活習慣の見直しを並行して行います。
最も身近な外傷のひとつ。「軽い捻挫」と放置するとクセになることも
足首をひねったり、段差や傾斜でバランスを崩したりすることで起こる外傷です。特に多いのは内側にひねる「内反捻挫」で、足首の外側の靱帯(前距腓靱帯など)が伸びたり断裂したりして強い痛みや腫れが生じます。スポーツ中だけでなく日常の転倒や段差の踏み外しでも起こり、年齢・性別を問わず誰にでも起こり得ます。軽い捻挫と思って放置すると、靱帯がゆるんだまま不安定性が残り、捻挫を繰り返す「習慣性捻挫」や、将来の軟骨損傷・変形性関節症につながることもあります。

視診・触診で腫れ・圧痛・不安定性を評価し、X線検査で骨折の有無を確認します。エコー検査で靱帯損傷の程度や関節内の出血を評価し、必要に応じてMRI検査で精査します。
受傷直後の急性期はRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)を徹底し、必要に応じてテーピングやサポーター、装具、シーネによる固定と薬物療法(消炎鎮痛薬の内服・外用)を行います。回復期には可動域訓練・バランス訓練・筋力トレーニングを段階的に開始し、理学療法士によるリハビリテーションで再発を予防します。中等度以上の損傷では装具の使用期間を調整しながら、段階的な運動復帰をサポートします。
足の内側にある余分な骨が炎症を起こす疾患。10代のスポーツをするお子様に多くみられます
足の内側(内くるぶしの下あたり)にある「外脛骨」という余分な骨(副骨)が痛みを引き起こす疾患です。外脛骨は約15〜20%の方に存在するとされ、普段は痛みがないものの、成長期の骨の未完成、扁平足によるアーチ低下、ジャンプ・ダッシュなど運動による過度な負荷、靴による圧迫や摩擦などをきっかけに炎症を起こし、痛みが出ることがあります。特に10代の女性やスポーツをしているお子様に多くみられます。
視診・触診で突出部位の圧痛や腫れを確認し、X線検査で外脛骨の有無・形状・骨の癒合状態を確認します(外脛骨のタイプにより治療方針が変わることがあります)。必要に応じてMRI検査で骨の炎症や周囲組織の状態を評価します。
多くは保存療法で改善します。ジャンプやダッシュ動作を控える運動制限・安静、扁平足を補正して舟状骨への負担を減らすインソールやアーチサポーター、薬物療法(湿布・内服)、テーピングや装具による局所の安定化、ふくらはぎや足底の柔軟性を改善するストレッチ指導を組み合わせます。痛みが強い場合や急性炎症を伴う場合は局所注射を行うことがあります。
内くるぶしの下で神経が圧迫され、足裏にしびれや灼熱感が出る神経障害
内くるぶしの下を通る「後脛骨神経」が圧迫されて起こる神経障害です。足根管は内くるぶしの下から足の裏にかけてのトンネル状の構造で、神経・血管・腱が通っています。ガングリオンや腫瘍による圧迫、捻挫・骨折後の瘢痕組織、外反扁平足による神経への牽引、糖尿病などによる神経の脆弱性、腫れやむくみによる管内圧の上昇など、さまざまな原因で管内が狭くなると、足の裏に痛みやしびれが現れます。放置するとしびれや感覚障害が強まり、足の機能に支障をきたす恐れもあります。
内くるぶし付近を軽く叩くと足裏にしびれが走るチネル徴候の確認のほか、X線検査で骨の変形や扁平足・外傷の有無を、エコー検査でガングリオンや腫瘍の有無を確認します。必要に応じてMRI検査や神経伝導速度検査を行い、診断の補助とします。
多くの場合、保存療法で症状の改善が期待できます。安静・運動制限、アーチを補正して神経への負担を軽減するインソール(足底板)、薬物療法(消炎鎮痛薬の内服・外用)、理学療法(ストレッチ・温熱・電気治療など)を組み合わせます。神経の滑走性を高めるハイドロリリースや、炎症が強い場合のステロイド注射も選択肢となります。ガングリオンなど明らかな圧迫原因があり保存療法で改善しない場合は、手術が検討されるため適切な医療機関をご紹介します。
足の甲(中足部)のケガ。見逃されやすく、重症化することもあります
リスフラン関節は、足の甲の中ほどで「中足骨」と「足根骨」をつなぐ関節です。ジャンプの着地時に足を捻った、階段や段差で転倒した、足の甲を踏まれた・重い物を落としたなど、この部分に強い外力が加わることで靭帯や関節包が損傷する外傷を「リスフラン関節捻挫」と呼びます。サッカー・ラグビー・バスケットボールなどの接触スポーツで起こりやすい一方、日常のケガでも発症します。損傷が大きいと骨同士がズレる「リスフラン関節脱臼骨折」に進行する場合もあるため、正確な診断が重要です。
腫れや圧痛、関節の不安定性を確認したうえで、X線検査で骨のズレや骨折の有無を確認します(左右比較撮影を行うこともあります)。エコー検査で靭帯損傷や腫脹の程度を観察し、微細な骨折や軟部組織の評価が必要な場合はCT・MRI検査を行います。
急性期はRICE処置を基本に、足底装具(インソール)やギプス固定で関節の安定性を保ちながら炎症を抑え、必要に応じて松葉杖などで免荷を行います。薬物療法(消炎鎮痛剤・湿布)を併用し、腫れが引いた段階でリハビリテーション(可動域訓練・筋力強化)を進めます。靱帯周囲の滑走障害にはハイドロリリース、炎症が強い場合には局所注射を行うこともあります。靱帯断裂や関節の不安定性が強い場合は靱帯再建術やスクリュー固定術が必要になることがあるため、専門医療機関をご紹介します。
成長期の活発なお子様に多い、かかとの成長軟骨の炎症
成長期の子どもに多くみられる、かかとの骨(踵骨)の成長軟骨部分に炎症が起こる疾患です。小学校高学年から中学生頃の、活発にスポーツをしているお子様に多く発症します。繰り返されるジャンプやダッシュなどの動作により、踵骨の骨端部(成長板)に過度な負荷がかかることで発症し、バスケットボール・サッカー・陸上競技などをしているお子様に頻発します。多くの場合、成長とともに自然に改善していく疾患ですが、痛みを我慢して続けると長引くことがあるため、早めにご相談ください。
問診と理学所見を中心に、骨の異常や骨折との鑑別のためX線検査を行い、必要に応じてエコー検査を追加します。治療は保存療法が中心で、一時的な運動の中止または制限、アイシングや湿布による炎症の抑制、アキレス腱やふくらはぎの柔軟性を改善するストレッチ・リハビリを行い、必要に応じて足底板(インソール)で足への負担を軽減します。